「わたくし、木戸雪菜と申します。お館様……英二様のお父上、 三島英一郎様のお屋敷で、メイドとしてお仕えしておりました」 ある日、俺の住むオンボロアパートに不似合いなメイドが訪ねて来た。 彼女は、父が亡くなった事とその遺産の相続権が俺にあると告げる。 父は俺が赤ん坊の頃に浮気して、それが原因で離婚したと聞いている。 そんな経緯だから父の写真などは見たことがない。 俺にとっては、俺と母を捨てた男、というイメージがあって、 会いたいとか父について調べたいとか思ったこともなかった。 相続する気もなく 「……とにかく、お断りします」 と、告げる。 すると彼女は、突然全裸になり、そして…… 「英二様、さあ、楽になさってくださいませ」 驚いて後ずさることもできなくなってる俺めがけて、 古武術のような動きで優雅に跳ねたかと思うと、躍りかかってきたのである。
Date: January 18, 2022